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2026/04/13

ライティングの5つの要素|Direction(光の方向)

こんにちは!axis.代表の松下です。
今回から数回に分けて映像におけるライティングについて書いていこうと思います。
すごく良い教材的な動画がYoutubeにあったので、そちらを基に解説していきます。

まずはこの動画を見てみてください。

海外のDPや照明技師が解説しているライティング動画です。
こういう映像がなぜ質感豊かに見えるのか。また再現性を持って使われているのか。

最初は機材の差に目がいきがちですが、実際はもっとシンプルです。

映像のクオリティを大きく左右するのは、ライティングです。

カメラやレンズももちろん重要ですが、光の設計が甘いと映像は一気に陳腐になります。
逆に、照明がしっかりしていれば、機材以上のクオリティに見えることもあります。

日本でもライティングの発信は増えてきていますが、情報量としてはまだ多いとは言えません。
一方で、海外、特に英語圏ではDPや照明技師が実践的な内容を多く発信しています。

ただし英語で解説されていることが多く、なんとなく見て終わることも少なくありません。
また、大規模な映画やCMの現場と、僕ら小規模なクリエイターチームが扱う案件とも乖離があると感じていました。
良いところは、真似して、無理なところ(予算やスペース)などは参考程度に勉強しておくくらいが良いなと最近感じています。

このブログシリーズでは、そういった海外のライティングをベースに、

  • 動画で説明されている内容を軸にしながら
  • 構造として分解し
  • 現場で使える形に落とし込む

ことを目的にしています。

ライティングは感覚ではなく、再現できる技術です。

今回はその中でも最も基本となる「Direction(光の方向)」について見ていきます。

ライティングは方向で決まる

この動画内で説明している、ライティングのスタートは「光の方向」を考えると説明しています。

どこから光を当てるか。

この動画でも説明されている通り、同じライトでも方向が変わるだけで印象は大きく変わります。

ここでは代表的なライティングの方向を順番に整理していきます。

Front Light(フロントライト)

全体的にフラットな印象になります。

フロントライトは、カメラと同じ光軸上から当てる最もシンプルなライティングです。
顔全体が均一に照らされるため、一見すると綺麗で安定した画に見えます。

ただ、この光の特徴は“影を消してしまう”ことにあります。
影がなくなることで肌の凹凸は目立ちにくくなり、美容系の撮影や広告ビジュアルなどでは効果的に使われます。

一方で、光と影の差がなくなることで立体感も失われ、映像としては平面的な印象になりやすい。さらに背景まで同時に照らしてしまうため、被写体との分離が弱くなり、全体的にのっぺりとした見え方になりがちです。

そのため、インタビューやブランド映像のように“空気感”を出したいシーンではあまり使われず、情報を正確に見せたい場面や、肌を綺麗に見せることが優先される場面で選ばれることが多いです。

見分け方としては、鼻の影がほとんど見えず、顔全体が均一に明るい状態であればフロントライトと判断できます。

Butterfly Light(バタフライライト)

鼻の下などに影ができることで立体感が、フロントライトに比べある印象になります。

バタフライライトは、被写体の正面かつ少し高い位置から光を当てるライティングです。
鼻の下に蝶のような形の影ができるのが特徴です。

フロントライトに比べると、わずかに影が生まれることで顔に奥行きが出て、より整った印象になります。頬骨にも軽く影が入るため、立体感を損なわずに“綺麗に見せる”ことができるライティングです。

そのため、ポートレートやファッション、ビューティー系の撮影など、「綺麗に見せたいが、のっぺりさせたくない」場面でよく使われます。

ただし、影自体はそこまで強くならないため、ドラマ性のある表現にはやや向いていません。また、目のくぼみが深い場合は影が入りすぎてしまい、暗い印象になることもあります。

見分け方としては、鼻の下に特徴的な影が出ているかどうかを見ると判断しやすいです。

Rembrandt Light(レンブラントライト)

影側の頬に三角形のハイライトができるのが特徴のライティングです。

レンブラントライトは、カメラ軸から約45度横、そして少し上の位置から光を当てるライティングです。
影になる側の頬に三角形の光ができるのが最大の特徴です。

このライティングの優れている点は、光と影のバランスにあります。
強すぎず弱すぎず、自然な立体感を作ることができるため、非常に“現実に近い見え方”になります。

映画やドキュメンタリー、インタビュー、ブランド映像など、幅広いシーンで使われているのはこのためです。特に「リアルさ」と「映像としての美しさ」を両立したい場面では、まずこの形がベースになります。

ただし、光の角度が少しズレるだけで印象が変わってしまうため、セッティングにはある程度の調整が必要です。

見分ける際は、影側の頬に三角形の光があるか、そして鼻の影が自然に口元へつながっているかを見るとわかりやすいです。

Side Light(サイドライト)

サイドライトは、被写体の真横から光を当てるライティングです。
顔の半分が光に当たり、もう半分が影になることで、非常に強いコントラストが生まれます。

この光は、質感や立体を強く表現できるため、印象的なビジュアルを作るのに向いています。例えば、シネマティックなカットや、人物の感情を強く見せたいシーンなどでは効果的に使われます。

一方で、日常的なシーンやナチュラルな表現にはやや強すぎることもあり、使いどころは少し限定されます。

実際の現場では、完全な真横ではなく、少しカメラ側に寄せた角度で当てることで、自然さとのバランスを取ることが多いです。

見分け方としては、顔が光と影で大きく分かれており、鼻の影がほとんど見えない状態になっているかを確認します。

Kicker / Edge Light(キッカー/エッジライト)

キッカーライトは、被写体の斜め後ろから当てる光です。
輪郭や肩のラインにハイライトを作り、被写体を背景から浮き上がらせる役割を持ちます。

この光は単体で使うというよりも、メインのライティングに対して補助的に使われることがほとんどです。特にインタビューや人物撮影において、少し加えるだけで被写体の存在感が一気に強くなります。

ブランド映像や広告など、“しっかりと被写体を際立たせたい”場面では非常に有効な光です。

ただし、強く当てすぎると不自然になりやすいため、あくまでバランスを見ながら調整することが重要です。

見分け方としては、頬や肩のラインにだけ光が入り、輪郭が強調されている状態を確認します。

Back Light(バックライト)

バックライトは、被写体の真後ろから当てる光です。
頭や肩の周りにハイライトを作り、被写体と背景の間に距離を生み出します。

キッカーライトと似ていますが、こちらはよりシンプルに“分離”を作るための光で、前面には光が回り込みません。

この光は、インタビューやブランド映像、シネマティックな映像など、空間の奥行きをしっかり出したい場面でよく使われます。これが入るだけで、映像全体の密度が一段上がったような印象になります。

ただし、角度や強さを誤るとフレアや白飛びにつながるため、セッティングには注意が必要です。

見分け方としては、輪郭のみに光が当たり、顔の前面には影響していない状態を確認します。

レンブラントライトを基準にする

ここまで見てきた中で、どのライティングを使うべきか。

まずはレンブラントライトを基準にするのが現実的だと僕自身考えています。

  • 汎用性が高い
  • 少人数の現場でも再現しやすい
  • 破綻しにくい
  • 比較的広いスペースを必要としない。

この形をベースにして、

  • キッカーを追加する
  • バックライトを追加する
  • サイド方向に寄せる

といった調整を行うことで、シーンに応じたライティングを組み立てることができます。

特に小規模な現場では、シンプルで再現性のある基準を持つことが重要です。

まとめ

ライティングで最初に考えるべきことは、光の方向です。

どこから当てるかによって、映像の印象は大きく変わります。

迷った場合は、レンブラントライトから始める。

そこを基準に調整していくことで、ライティングの理解は整理されていきます。

次は、動画の順番通りライトのクオリティについて深掘りしていきたいと思います。

では、また!

Posted byMatsushita