
映像をある程度作れるようになってきて、人柄の部分でも少しずつ信頼してもらえるようになってくると、その次に大事になってくることがあります。
それが、クライアントの課題をちゃんと理解することです。
映像の仕事を始めたばかりの頃は、どうしても「どんな映像を作るか」に意識が向きやすいと思います。
かっこよく撮りたいとか、おしゃれに仕上げたいとか、もっと上手く見せたいとか。
それ自体はもちろん大事ですし、クリエイターとしてそう思うのは自然なことだと思います。
でも、仕事として映像を作るなら、本当に大事なのはそこだけではありません。
もっと大事なのは、その映像で何を解決したいのか、何のために作るのかということです。
映像を作ること自体が、目的ではない
映像は、作ることそのものが目的ではないと思っています。
あくまで何かを伝えたり、動かしたり、変えたりするための手段です。
たとえば、採用を強くしたい会社もあれば、商品の認知を広げたい会社もある。
売上を伸ばしたい場合もあるし、ブランドの印象を整えたいこともある。
アーティストなら、自分の世界観や作品の背景を届けたいかもしれないし、団体なら活動の意義や想いをもっと広く知ってほしいのかもしれません。
同じ「映像を作りたい」という依頼でも、その中身は毎回全然違います。
置かれている状況も違えば、目指している未来も違う。
だから、同じように見える仕事でも、実際には同じ依頼なんて一つもないんだと思います。
ここをちゃんと理解しないまま作ってしまうと、映像としては整っていても、仕事としては少しズレてしまうことがあります。
見た目はいいけれど、相手が本当に欲しかったものには届いていない。
そういうことは意外とあると思っています。
まずは、相手の話をちゃんと聞く
だからこそ、作る前にまず大事なのは、相手の話をちゃんと聞くことです。
何に困っているのか。
何を変えたいのか。
どんな人に届けたいのか。
どういう未来を描いているのか。
そこを丁寧に聞かないまま、いきなり作り始めても、いい提案にはなりにくいと思います。
もちろん、最初から相手の中で全部が整理されているとは限りません。
むしろ、うまく言葉になっていないことの方が多いかもしれません。
でも、だからこそ話を聞く意味があるんだと思います。
会話をしながら整理していく。
相手が本当に求めているものを探っていく。
そのうえで、自分なら何ができるかを考える。
そこに、ただ作るだけではないクリエイターとしての価値が出てくるんだと思います。
僕は、プロジェクトの目的設定などはデザイナーさんの仕事を真似することが多いです。
カメラマンは良くも悪くも撮影してしまえば何となく形になってしまう事もあるのですが、、、
デザイナーの方達の目的設定や、プロジェクトの進行などはかなりしっかりしていて非常に勉強になります。
スキルは、相手のために使ってこそ意味がある
前回、スキルを磨き続けることの大切さを書きました。
撮影でも、編集でも、デザインでも、知識や技術を深めていくことは、クリエイターとしてやっていく以上ずっと必要なことだと思います。
でも、そのスキルも、ただ持っているだけでは仕事の価値にはなりません。
大事なのは、それを相手のためにどう使うかです。
たとえば、かっこいい映像を作れること自体は強みです。
でも、クライアントが求めているのが親しみやすさだったり、信頼感だったり、わかりやすさだったりするなら、ただかっこいいだけでは足りないこともある。
逆に、派手な演出がなくても、その会社らしさがちゃんと伝わったり、その商品を知るきっかけになったり、その人の想いがまっすぐ届いたりするなら、それは仕事としてすごく意味のある映像です。
だから、スキルを磨くことと同じくらい、そのスキルを何のために使うのかを考えることが大事なんだと思います。
提案できる人が、仕事を作っていく
依頼の受け方は人それぞれです。
企業から直接相談をもらうこともあれば、アーティストから依頼を受けることもある。
団体の発信に関わることもあれば、プロダクションの下で一部分を担当することもあると思います。
そうなると、任される範囲も提案できる幅も、その都度変わってきます。
全部を自分で決められる仕事もあれば、ある程度決まった条件の中で動く仕事もあります。
でも、どんな立場であっても共通していることがあります。
それは、依頼されているということは、何かしらの価値を返すことが求められているということです。
映像をきれいに作る。
言われたものをきちんと納める。
それももちろん大事です。
でも、それだけじゃなくて、相手の状況を理解して、より良いやり方を考えたり、伝わりやすい形を提案したり、目的に合う方向を一緒に探したりすることにも価値があります。
報酬が発生するということは、単に作業をこなすことではなくて、相手にとって意味のあるものを返すことなんだと思います。
その意識を持てるかどうかで、仕事の質も、信頼のされ方も、かなり変わってくると思います。
何を作るかの前に、なぜ作るかを考える
映像の仕事は、作ることがゴールではありません。
その映像が誰かに届いて、何かを動かして、何かを良くしていくことが本当の意味でのゴールなんだと思います。
だからこそ、どんな映像を作るかを考える前に、まずはなぜ作るのかを考える。
相手がどんな課題を持っていて、どういう未来を求めているのかを理解する。
そのうえで、自分の持っているスキルや経験を使って応えていく。
それが、仕事としてのクリエイティブなんだと思います。
上手く作れることも大事。
信頼されることも大事。
でも、その先で本当に求められるのは、相手のために考えられることです。
何を作るかより、なぜ作るか。
そこを見失わないことが、仕事として長く続けていくうえで、とても大事なんじゃないかなと思っています。
