ブラックマジックはもう扱いづらいカメラじゃない

Blackmagic Designのカメラといえば、圧倒的な映像美と引き換えに、どこか“使い手を選ぶ”存在でした。
オートフォーカスはあくまで補助的。
手ブレ補正もない。
音声入力も2chまで。
つまり、「ちゃんと撮るならちゃんと人を揃えてね」という思想のカメラだったと思います。
そんなブラックマジックが、ここにきて大きく変わってきています。
① ついに4ch音声入力に対応
Pyxisシリーズが、アップデートによって4チャンネルの音声入力に対応しました。
これは一見地味ですが、現場目線ではかなり大きな進化です。
これまでは2chまでだったため、ピンマイクやガンマイクなど複数の音声を同時に扱うには工夫が必要でしたが、4ch対応になったことで、
- ワンオペでのインタビュー撮影
- 複数人の同時収録
- 環境音の別録り
といった現場が、かなりシンプルに回せるようになります。
「音声周りが弱い」というブラックマジックの弱点が、ようやく実用ラインに乗ってきた印象です。

② オートフォーカス+顔認識トラッキング
これもかなり大きなアップデートです。
これまでのブラックマジックは、“基本マニュアルフォーカス前提”のカメラでした。もちろんそれが映像表現の自由度でもありましたが、
- 一人での撮影
- 動きのある被写体
- インタビュー時の微妙な前後動
こういった場面では、正直かなりシビアでした。
今回、顔認識トラッキング付きのオートフォーカスに対応したことで、「ちゃんと追える」という安心感が生まれています。
いわゆる“ピーキーな映像専用機材”から、“現場でも戦えるカメラ”に一歩近づいた印象です。

③ Lマウントの“使いづらさ”が解消され始めた
ブラックマジックが採用しているLマウントですが、これまでネックだったのがフォーカスリングの挙動(ノンリニア)でした。
- 回した量とピント移動量が一致しない
- 微調整が感覚頼りになる
という、映像制作においてはストレスの大きい仕様です。
しかし今回、リニアフォーカスに対応(※ベータ)したことで、
- 回した分だけピントが動く
- 再現性のあるフォーカス操作が可能
になりました。
さらに、オートフォーカスと組み合わせることで、
「AFで合わせて、MFで追い込む」という使い方も現実的に。
Lマウントレンズに対するハードルは、かなり下がったと感じます。


ブラックマジックの現在地
Blackmagic Designのカメラはこれまで、「映像のクオリティで選ばれる存在」でした。
特にBlackmagic RAWというフォーマットの優位性は大きく、「この価格でここまで作り込める」という点で、独自のポジションを築いていたと思います。
ただ、ここ数年で状況は大きく変わってきています。
各社のミラーレスカメラでもProRes RAW収録が可能になり、さらにDaVinci Resolve Studioでもその対応が進んできたことで、収録フォーマットの優位性だけでは差別化しづらい時代に入ってきました。
加えて、Sonyなどのシネマラインでは、
- 強力な手ブレ補正
- 実用レベルのオートフォーカス
- 高い機動力
といった「現場での使いやすさ」が、すでに標準装備になっています。
こうした流れを踏まえると、今回のアップデートは単なる機能追加ではなく、
ブラックマジック自身が“選ばれる理由”をアップデートしている段階とも言えそうです。
まとめ:進化を楽しめるカメラへ
これまでのブラックマジックは、
ハマれば最高。でも条件がシビア。
そんなカメラでした。
しかし今回のアップデートによって、
- 音声(4ch)
- フォーカス(AF+トラッキング)
- レンズ操作(リニア対応)
といった「現場で困るポイント」が一気に改善。
結果として、“こだわりの一台”から“現実的な選択肢”へ変わり始めています。
そして何より、ブラックマジックのカメラは
アップデートによって進化し続けるプロダクトです。
今が完成形ではなく、これからさらに良くなっていく余白がある。
だからこそ、その進化も含めて楽しめるカメラ。
これからのアップデートにも期待したいところです。
