
こんにちは!axis.代表の松下です。今日は絶対欠かせない機材NDフィルターについてご説明しようと思います!
動画撮影をしていると、
「日中の明るいシーンで、どうしても白飛びしてしまう」
「シャッタースピードを上げるとカクカクした映像になる」
そんな経験をしたことはありませんか?
それを解決してくれるのが、NDフィルター(Neutral Density Filter)です。
この小さなフィルターひとつで、映像の質は驚くほど変わります。
NDフィルターとは?【カメラ用サングラスのような存在】
NDフィルターは、
カメラに入る光の量をコントロールするためのフィルターです。
名前の「Neutral Density(ニュートラル・デンシティ)」とは、
色味を変えずに“光の密度”だけを下げるという意味。
簡単に言えば、カメラにかけるサングラスです。
日中など明るすぎる環境でも、
カメラ設定(シャッタースピードや絞り)を保つことができます。
NDフィルターが映像を変える3つの理由
1. シャッタースピードを理想値で保てる
動画では、1秒間に撮影するフレーム数(フレームレート)に応じて
自然に見えるシャッタースピードがあります。
例えば24fpsなら「1/48秒(または1/50秒)」が基本とされています。
この設定が守られていると、
動きに自然なブレが生まれ、映画のような質感になります。
逆にシャッタースピードが適正値ではないと、被写体がパラパラ動くような印象や
被写体ブレが強すぎて、見づらい映像になります。
ただ例外的に演出として、シャッタースピードを変えるものもあります。
例)アクションシーンなどではあえて被写体ブレを抑えて鮮明に被写体を捉える。
演出としてスローシャッタを使用して被写体ブレを起こすなど。

屋外では光が強すぎて、適正値のシャッタースピードと任意のF値では白飛びしてしまうことがあります。
ここでNDフィルターを使うことでレンズに入ってくる光量を抑え、
理想のシャッタースピード、F値を保ったまま撮影できます。
→ 結果:自然なブラー(被写体ブレ)が発生して、映像の質感が向上する。
2. 絞りを開けて“ボケ感”を出せる
NDフィルターを使うと、明るい環境でも開放絞りで撮影が可能になります。
F1.8やF2.0など、被写界深度が浅い設定でも白飛びせず撮れるため、
背景が柔らかくボケ、被写体が際立つ印象的な映像に。
映像の立体感や被写体を強調させたい意図の表現をする上でも、
NDフィルターは欠かせないアイテムです。
3. トーンが安定し、映像全体に統一感が出る
NDフィルターは、シーンごとの光のばらつきを整えてくれます。
撮影中に急に太陽が出たり陰ったりしても、
フィルターを調整することで一定の露出を維持できます。
そのため、後のカラーグレーディングや編集も安定し、
作品全体のトーンが統一された印象に仕上がります。
上の動画はカメラ設定は全く同じで、NDフィルターの有無で白飛びしている量を見てもいました。
映像が白飛びをしてしまうと、編集では元に戻すことはできません。
なので、この白飛びをいかに抑えて適正露出で撮影できるかが重要になります。
NDフィルターの種類と選び方
固定NDフィルター
ND4、ND8、ND16など、光を一定量カットするタイプ。
画質が安定しやすい反面、明るさの変化には弱い。
品質は後述の可変のものより安定していることが多い。
可変ND(バリアブルND)フィルター
ダイヤルを回すだけで減光量を調整できるタイプ。
1枚でND2〜ND400など幅広く対応できるため、
屋外撮影やドキュメンタリーなど光の変化が大きい場面に最適です。
便利ではあるが、メーカによって若干色味がズレたりすることもあるので、注意が必要。
NDフィルターで映像に“感情”を加える
NDフィルターの効果は、
単に明るさを抑えるだけではありません。
光をコントロールすることで、
映像に余白と静けさが生まれます。
やわらかい光の中に立つ人物、
ゆっくり動く風景、
止まった時間のような瞬間。
NDフィルターは“技術的なアイテム”でありながら、
映像に感情を宿すための道具でもあるのです。
まとめ
NDフィルターを使うことで、撮影はより自由で創造的になります。
- 自然な動きのモーションブラーを保てる
- 絞りを開けて美しいボケ感を出せる
- トーンが安定し、編集しやすくなる
地味な存在に見えますが、
NDフィルターは“意図が伝わる映像”をつくる第一歩。
まだ使ったことがない方は、
ぜひ次の撮影で試してみてください。
同じカメラでも、「光を整える」だけで映像の世界が変わります。