モーショングラフィックスは“色”で決まる。配色の参考にしたいサイト3選

こんにちは。モーショングラファーの中山です。
モーショングラフィックスを制作するとき、私が最初に行う作業は「配色を決めること」です。
動きの滑らかさやアニメーションの構成、文字のレイアウトと同じくらい、色の設計は作品の印象を左右する重要な要素だと感じています。
なぜ、配色がそんなに大事なのか?
色は“感情に直接作用する”と言われています。
つまり、どんな色を選ぶかで、作品の世界観や伝えたい雰囲気が大きく変わるのです。
・クールで落ち着いた印象を出したいのか
・元気でポップな世界観にしたいのか
・高級感を演出したいのか
・テック系のシャープさを表現したいのか
こうした方向性の多くが「構図」や「動き」よりも先に、色によって瞬間的に判断されます。
人は映像を見て 0.1秒以内に“好き/苦手”を判断する と言われますが、その多くは“色”によるものです。
だからこそ、配色を適当にしてしまうと、
どれだけ動きが良くても「何かしっくりこない」印象になってしまいます。
色の組み合わせが与える“効果”とは?
色にはそれぞれ心理的な意味があり、組み合わせ方にも定番のセオリーがあります。
例えば:
- 青 × 白 → クリーン、テック、誠実、爽やか
- 黒 × 金 → 高級感、洗練、重厚感
- 赤 × 黄色 → 活発、エネルギッシュ、注意喚起
- 緑 × ベージュ → 自然、安心、優しさ
こうした色の意味を理解しておくと、
「なぜこの映像はプロっぽく見えるのか?」
「なぜこのデザインはまとまって見えるのか?」
その理由が明確に分かるようになります。
逆に言えば、
配色のロジックが通っていない映像は、世界観がチグハグに見えてしまうのです。
配色は“世界観を言語化する作業”でもある
配色を決めることは、
作品が持つべき“温度”や“情緒”を言語化するプロセスでもあります。
「シャープでスタイリッシュ」
「柔らかくて優しい」
「明るくて元気」
「静かで落ち着いた」
こうした抽象的な方向性を色に落とし込むことで、
その後のアニメーション、フォント選び、構成の判断がスムーズになります。
つまり、
色の設計が決まれば、モーションの方向性も自然と整います。
そんな「配色の迷い」を減らしてくれるのが、
私が普段から愛用しているカラーパレットサイトです。
次の記事では、モーショングラフィックスの配色を考えるときに便利な
おすすめの配色ツール・カラーパレットサイト3つをご紹介します。
■ Adobe Color ― 迷ったときの“配色の羅針盤”
Adobe Color は、配色に悩んだときに最初に頼りたくなる万能ツールです。
色相環を使って直感的に色を選べるだけでなく、補色・類似色・トライアド・モノクロームなどの色の関係性を自動で解析してくれるため、プロのデザイナーが使うような洗練された配色をすぐに作ることができます。

● 直感的に使える色相環
円形のカラーホイールを動かすだけで、
「色として成立している組み合わせ」に自動で整えてくれるのが魅力。
何色を選んでも破綻しないので、配色が苦手な方にも非常に扱いやすいツールです。
● “テーマ”の作成が一瞬で終わる
気に入った配色ができたら、5色のカラーテーマとして保存可能。
後ほど After Effects や Illustrator に読み込んで、そのまま制作に使用できます。
Adobeアプリとの連携力はやはり群を抜いています。
● 写真から色を抽出して世界観を作れる
お気に入りの写真をアップロードすれば、
写真の空気感をそのまま配色として抽出してくれる「抽出テーマ」機能も優秀です。
映画のワンシーン、ブランドロゴ、街角で撮った一枚など、
好きなビジュアルの“空気”をそのまま色に落とし込めます。
● “色のルール”を自然に学べる
Adobe Color を使っていると、
「なぜこの配色はバランスが良いのか」
「なぜこの組み合わせは落ち着いて見えるのか」
という色の仕組みそのものが体感で理解できるようになります。
つまり、
ただ便利というだけでなく “配色の勉強になる”ツール でもあるのです。
■ まとめ
Adobe Color は、
- 配色に迷ったとき
- 世界観を固めたいとき
- 写真の雰囲気を色に落とし込みたいとき
- Adobeアプリと連携して効率化したいとき
あらゆる場面で頼りになる、モーションデザイナーの強い味方です。
■ Huemint ― “AIが世界観ごと提案してくれる”次世代カラーパレット生成ツール
Huemint は、AI を使って 「配色を自動生成」 してくれるユニークなツールです。
普通のカラーパレットサイトのように色の組み合わせだけを表示するのではなく、
実際の使用イメージをそのまま画面上で再現してくれる のが最大の特徴です。

● AI が“完成形のビジュアル”として提案してくれる
他のツールでは「5色のパレット」が出てくるだけですが、
Huemint は違います。
- WebサイトのUI
- ブランドロゴ
- ポスター
- モーショングラフィックスの背景やUI風レイアウト
など、実際のデザインに落とし込まれた状態で色を提案してくれるため、
配色のイメージが一気に固まります。
“色そのもの”ではなく“色の使われ方”が視覚的に分かるので、
デザイン初心者でも雰囲気を掴みやすいのが魅力です。
● 世界観に合った配色を瞬時に決定できる
感覚だけで色を選んでいると、どうしても
「何か合っていない気がする」
という状態になることがあります。
Huemint はその迷いを AI が一気に解消してくれます。
- モダン
- ミニマル
- ポップ
- ダークモード
- フラットデザイン
- ハイコントラスト
など、求めている“世界観の方向性”に合わせて、
AI が数秒で無数の配色を提示してくれます。
モーションデザインの冒頭の雰囲気づくりにも使いやすいです。
● 色の「役割」を理解しやすい
Huemint がすごいのは、
色をただ並べるのではなく、“どこに使うか”まで示してくれること。
- 背景に使う色
- 強調したい文字の色
- アクセントの色
- UIのボタン色
色の役割ごとにAIが最適化してくれるため、
「この色はどこに使えばいい?」
という迷いがなくなります。
これはモーショングラフィックスにおいても大きなメリットで、
シェイプの階層やUIアニメーションの設計が圧倒的に楽になります。
● とにかく“時短”になる
色の試行錯誤を AI に任せられるので、
制作の初期段階で悩む時間が大幅に減ります。
その分、
アニメーションの質に時間を使えるため、
制作効率が目に見えて上がるツールでもあります。
■ まとめ
Huemint は、
- デザインの方向性を早く固めたい
- 世界観に合う配色をAIに提案してほしい
- 実際のレイアウトで色を試したい
- UI やモーショングラフィックスをよく作る
- 配色で迷いやすい
こういった方には特におすすめのツールです。
AI が“世界観で見せてくれる”唯一無二の配色サービスなので、
私も制作初期に必ずと言って良いほど使用しています。
■ Pigment ― “光の当たり方”まで考慮した、美しく自然な配色をつくるツール
https://pigment.shapefactory.co
Pigment は、他のカラーツールとは少し違います。
単に色の組み合わせを提示するだけでなく、
現実の光がどのように色を見せるか を理論的に考慮して配色を生成してくれるのが最大の特徴です。
「自然に見える色」「光の下で調和する色」が直感的に分かるため、
モーショングラフィックスの世界観づくりに抜群に相性が良いツールです。

● 人間の“視覚と光”に基づいた配色設計
Pigment の魅力は、
人間が実際にどう色を感じるか をベースに色が生成されるところ。
色は光の強さや環境によって見え方が大きく変わりますが、
Pigment はこの“光の法則”をアルゴリズムに組み込んでいるため、
- 柔らかく見える色
- 深みのある影色
- 光が当たった時に美しく映る色
- 中間色のバランス
などが非常に自然な仕上がりになります。
モーショングラフィックスでは、
背景と前景のコントラストが常に動くため、
自然なカラーバランスは作品の“空気感”を決める最重要ポイントとなります。
Pigment はそこを圧倒的に助けてくれます。
● 色の濃淡・彩度を“最適な距離感”で提示してくれる
Pigment は、ただ色を並べるのではなく、
- 濃い色
- 中間色
- 淡い色
が“自然に調和するバランス”で並べられています。
これにより、
- 背景
- メインのモチーフ
- アクセント
- テキストカラー
の役割が直感的に分かり、
そのまま映像に落とし込んでも破綻しにくい配色パレットが作れます。
これは、
色が動くモーショングラフィックスでは特に大きな利点です。
● UI が美しく、クリエイティブな気分になる
Pigment はとにかく UI が美しいです。
ミニマルで余白のある画面に、自然な色の組み合わせが並んでいて、
色選びの時間そのものがインスピレーションになります。
制作前の “色のウォーミングアップ” として見るだけでも、
いい配色の感覚が整っていくような気持ちにさせてくれます。
● “自然に見える色”は視聴者の疲労を和らげる
モーショングラフィックスでは、
色がチカチカすると視聴者の集中力が落ちてしまいます。
Pigment の配色は自然光の法則を参考にしているため、
- 目に優しい
- 落ち着く
- 長時間見ていても疲れない
- 画面の世界観に没入できる
という効果があります。
企画・企業向けの説明動画や、
UIモーション、ブランドムービーなどとの相性がとても良いです。
■ まとめ
Pigment は、
- 自然で落ち着いた色を使いたい
- 光と影の世界観を大事にしたい
- 映像の“空気感”を丁寧に作りたい
- モーショングラフィックスの背景色に迷いやすい
- 柔らかいトーンやニュートラルカラーが好き
こういうクリエイターにとても向いています。
“光が当たった時の美しさ”まで計算されている配色ツールは珍しく、
作品をワンランク上の質感にしてくれる頼もしい存在です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
配色ひとつで映像の印象はガラッと変わります。
ぜひ今回ご紹介したサイトを参考にしながら、映像制作のヒントを見つけてみてください。