
インタビュー撮影で「音」を良くする方法 — ブームマイクを中心に
映像を撮るとき、多くの人が最初に目を向けるのは「画」。
でも、特にインタビューでは “音”が主役 と言っても過言ではありません。
声が聞き取りにくかったり、ノイズが気になったりすると、どんなに画がきれいでも違和感を覚えてしまうものです。
ブームマイク(Boom Mic)の基本と使いどころ
まず「ブームマイク」とは、マイクを長い棒(ブームポール)で被写体の頭上や斜め前に持ってきて録る方式のこと。マイクを被写体に持たせず自然な表情を撮れるのが強みです。
ブームを使うときのポイント:
- 被写体の声の方向を向くように、マイクを少し傾けて当てる
- マイクがカメラ画面に入り込まないよう、ぎりぎりの位置を見定める
- できるだけ被写体に近づけること。ただ、マイクが近すぎると不自然になる場合もあるのでバランスが大事
- ケーブルはポールに巻いて、画面内に写り込まないように整理する
僕自身、インタビュー撮影でブームを使用している際に何度かポールやスタンドの影がフレームに入ってしまったことがあります。そういうときは、少しずつポールの高さや角度を変えて影を回避するように調整します。

便利なので、是非使ってみてください。

セッティング方法
僕がいつもセッティングでやっている大まかな順番は、下記の順番になります
- 被写体とカメラの位置を決める
- ライティングの位置を決める
- マイクのセッティング
まず、一番重要な被写体の立ち位置、座り位置を決めます。
ここが決まってくれば自然とライトやマイクの位置が決まってきます。
撮影までに時間があるのであれば3Dシミュレーションなどで一度事前にイメージを作っておけば現場で迷ったりすることがないのでおすすめです!

今回はキーライト、バックライト、フィルサイドには黒いボードを置いて、影を強めに出してシックな印象のインタビューの雰囲気を作りました。
マイクはこのセットに干渉しない位置で設置すればOKです。


ライトやマイクのセッティングは二人以上で行えるのが理想です。
一人がカメラのモニターを確認、もう一人がライトや、マイクの位置を微調整するイメージです。
(ワンオペ撮影の場合は遠隔で確認できるモニターなどがあればいいと思います。)
被写体が前後に動いてもいいように若干斜め方向の角度を加えておくと、体が動いた際にも録音することができます。


32bit float方式のものは大音量でも音割れがないので、おすすめです。
写真はZOOM F3
ピンマイク(ラベリアマイク)の併用も有効
ブームだけではどうしても拾えない場所や動きのある被写体、大人数のインタビューでは、ピンマイク(衣服に付ける小型マイク) を併用するのが安心です。
ただし、ピンマイクには以下のような注意点もあります:
- ケーブルノイズ(衣擦れ、服のすれる音)
- 無線タイプの場合、電波ノイズや遅延のリスク
ブームとピンマイクを組み合わせて使う場合は、あとで同期させられるように クラップ(手拍子など音をはっきり出す動作)を撮影の冒頭に入れておくと便利です。
専用ツールなども販売されていますが、ガムテープでも代用できます。大きく動き回るとノイズが入る可能性があるので、ケースバイケースで機材は選んでいければいいと思います。

有名メーカーどころのものを購入すれば、接続の安定性などで安心感が得られると思います。
写真はRODE WIRELESS PRO
環境ノイズの対策・収録前チェック
良い録音を得るためには、収録前の準備が非常に重要です。
- 周囲のノイズを見極めて対策(エアコン、機械音、通行音など)
- 空間の反響・残響を減らすため、カーテンやラグ、布類で音を拡散・吸収
- 録音前にモニターでチェック:ヘッドフォンで収録中にノイズや異音がないか確認
- 録った音を現場で軽く聴く:録り逃していたノイズや異変があれば再録できる可能性があるタイミングで気づきたい
おわりに

被写体が前後に動いたりした際にラベリア(ピンマイク)があると保険にもなるので、安心です。
どちらのマイクにも一長一短があるので、ミキシングする事でより良くなることもあります。
インタビュー撮影で“音をちゃんと捉える”ことは、映像の印象を決める大きな要素です。
ブームマイク、ピンマイク、録音方式、ノイズ対策―これらを理解して意識することで、映像の説得力はぐっと上がります。
僕もまだまだトライ&エラーの繰り返しですが、次にインタビューを撮るときはこの知見を意識しつつ、現場で試してみてください。
技術だけじゃなく、感覚として身体に刻み込んでいくことが、良い音づくりの近道だと思います。