
axis.代表松下です!今日は、僕が最近見て感動した映画について書いていこうと思います。
映像制作に携わる者として、そして一人の観客として。
映像制作の仕事をしていると、映画をつい技術的な視点で見てしまうことがあります。
構図の意味、光の方向、編集のテンポ、カメラワーク……。
もちろんそれらも大事なのですが、最近はもう一度、
「ただの観客として心が動く瞬間を味わうこと」 を大切にしたいと思うようになりました。
そのなかで出会った作品が、どれも深く印象に残ったため、
今回は最近観て特に心に残った映画を3本ご紹介いたします。
■ ゴッドファーザー
改めて観てみると、「名作」と呼ばれる理由がよくわかる作品でした。
長編ではありますが、驚くほど退屈しません。
物語の緊張感と人間ドラマの厚みが途切れることなく続いていきます。
印象的だったのは、映画全体に漂う 世界観の完成度 の高さです。
キャラクターの設定、空気感、光や色、そして音楽まで、
一つひとつの要素が深いところでつながっており、
映画という“総合芸術”がひとつの形として成立している感覚がありました。
また、演者の表情や間の取り方から伝わってくる感情の厚みは圧倒的で、
セリフ以上に「人間の奥行き」が見えてくる瞬間が多くありました。
自分も映像を作る立場として、
この作品が“教科書”と呼ばれる所以を改めて実感いたしました。
■ 「正体」
こちらは映画館で観て、後日Netflixで何度も見返した作品です。
それほどまでに “絵作り” と “構成” が巧妙で、観れば観るほど新しい発見があります。
特に感銘を受けたのは、
観客が自然と物語へ引き込まれるように構築されたカメラワークと構図 です。
寄るべきところで寄り、引くべきところで引き、
視線の誘導が非常に丁寧に作られているため、
気づくと物語の中に没入しているような感覚がありました。
脚本の構造も完成度が高く、
伏線、人物描写、感情のすれ違いが複層的に積み上がり、
「もう一度観たい」と思わせる映画として非常に魅力的でした。
また、光の使い方も印象的で、
暗いシーンでも“見るべきポイント”が常に明確に設計されており、
画面の中で漂う空気まで伝わってくるような質感があります。
■ 「万引き家族」
この作品は、観終わった後に静かに胸に残る余韻がありました。
派手な演出や説明的な描写はほとんどないのに、
登場人物それぞれの背景や感情が深く伝わってくるのが印象的です。
特に、キャラクターの 心象表現の巧みさ に心を奪われました。
セリフで語らずとも、表情や仕草、沈黙の時間の中に“本当の感情”が滲み出ている。
その“見せすぎない”演出こそ、この作品の魅力だと感じました。
美術の作り込みにも驚かされます。
生活感のある狭い部屋、散らかった棚、少し黄ばんだ照明…。
どれもが単なる背景ではなく、登場人物の人生そのものを語っています。
■ おわりに
映画を観ていると、改めて気づかされることがあります。
結局のところ、映像の核心は“心が動く瞬間に出会えるかどうか”。
技術的な正しさを追求するだけでは到達できない領域が確かにあって、
それはキャラクターの温度や、画面に漂う空気感、
ほんのわずかな沈黙や、目の動きに宿っているのだと感じます。
今回ご紹介した作品は、いずれも“技術ではなく感情”が中心にある映画でした。
これからの制作にも、こうした体験や感覚を少しずつ還元していければと思います。
そして、一人の観客として映画を楽しむ時間も、大切にしていきたいと思います。
では、また!