本文までスキップする
2025/10/14

映像を印象づける照明|基本の「三点ライティング」

映像の世界で“光”は、カメラと同じくらい重要な要素です。
どんなに良いカメラを使っても、照明の当て方次第で映像の印象は大きく変わります。

今日は、映像ライティングの基本である 「三点ライティング(3点照明)」 について紹介します。
これは、ひとりの被写体を自然かつ立体的に見せるための基本構成で、
映画、ドラマ、インタビュー、どんな現場でも応用されている照明の考え方です。

是非この技術を身につけてください!

1. キーライト(Key Light)――メインの光

キーライトは、被写体を照らすメインの光
もっとも明るい光源で、被写体の印象を決める中心的な存在です。

カメラの正面から少し斜め(左右どちらか約45°)に、
やや上から当てると自然な立体感が生まれます。

たとえば人物インタビューなら、キーライトの位置で
「柔らかく優しい印象」から「ドラマチックで陰影のある印象」までガラッと変わります。
キーライトは、映像の“主役の表情”をつくる光です。

今回使用したのは、Nanlite FC500Bにソフトボックスを付けてキーライトとしました。
(屋内の仕様であれば60W~100Wくらいの出力があれば十分です。)

今回のキーライト。FC-500B + Godox QR-P120
500Wくらいの出力があれば大抵のことはできるのでおすすめです。
コンパクトな方が良ければ100W前後のものでもいいと思います!
ライト無しの状態。光量が足りていません。
キーライトを足すだけで、かなり良くなったかと思います。

2. バックライト(Back Light )――輪郭を際立たせる光

次が バックライト
被写体の後ろ側から当てる光で、頭や肩の輪郭を際立たせる役割があります。

背景と被写体の間に明暗差をつくることで、
人物が浮かび上がるように見え、映像に奥行き立体感が生まれます。

室内撮影なら、被写体の背後に小さなライトを置くだけでも効果的。
自然光の環境なら、窓から差し込む逆光を“エッジライト”として利用できます。

被写体に向かって左後方から当てている光です。
輪郭を強調するので、「エッジライト」と呼ばれることもあります。
被写体後方から当てていきます。
ライトは100Wのライトで出力を最小にしました。
少し光が硬すぎたので、トレーシングペーパー付けています。
キーライトとバックライトを使用しています。
被写体が背景と分離されて立体的に映るようになりました。

3. フィルライト(Fill Light)――影をやわらげる光

キーライトを当てると、反対側には自然に影ができます。
その影をほどよく明るくして、全体のバランスを取るのが フィルライト の役目です。

光を強く当てすぎると立体感がなくなってしまうので、
キーライトの 半分〜3分の1程度の明るさ が目安です。

「顔の右と左で明るさの差がありすぎるな」と感じたら、
レフ板や白い壁を利用して光を反射させるだけでも立派なフィルライトになります。
特別な照明がなくても工夫次第で整えられる、仕上げの光です。

今回はライトではなく白いボードに光を反射させてフィルライトとしました。
影を少し残す程度ならライトがなくても大丈夫です!
完成系です。
影の部分が少しナチュラルになりました。もう少し弱めたい場合はライトを当てることもあります。
比較動画です。上の物がフィルサイドにボードを置いて影を弱めた方です。

三点ライティングのバランスを意識しよう

この3つの光――
キーライト、フィルライト、エッジライト。
このバランスを意識するだけで、映像は一気にプロの質感に近づきます。

すべてを完璧に揃える必要はありません。
自然光のある部屋なら、窓からの光をキーライト、反対側の壁の反射をフィルライト、
そして太陽の逆光をエッジライトとして使うこともできます。

大切なのは、“光を見て考える癖”をつけること。
どこから当たって、どこに影が落ちて、どう見せたいか。
それを意識するだけで、同じ場所でも全く違う映像になります。

おわりに

ライティングは、カメラの性能よりも「映像の印象」を左右する力を持っています。
強い光、やわらかい光、逆光、陰――どれも映像表現の一部。

三点ライティングは、映像づくりの“文法”のようなものです。
まずは基本を体で覚えて、その上で自由に崩していく。
それが、自分らしい“光の表現”を見つける近道だと思います。

Posted byMatsushita