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2025/10/10

基本の構図5選 ―― 見る人に伝わる映像づくりのテクニック

動画や写真を撮るときに、「なんだか上手くまとまらないな」と感じたことはありませんか?
実はその原因、構図(こうず) にあることが多いんです。
逆を言えば、ここのポイントを押さえてしまえば撮影したものが大きくイメージから離れることはありません。

僕が映像制作で意識していることは、
「何を撮るか」×「どう撮るか」=「意図が伝わる映像」です。
「何を撮るか」というのは、製作者のクリエイティブな発想に源流があると思っています。
ここは、日頃のインプットの質と数が重要な、いわゆる「良いアイディア」と言われる部分です。

今回の記事で書く構図は「どう撮るか」の部分です。
この「どう撮るか」は技術的なテクニックです。カメラの使い方や、構図、カメラワーク、照明、音声など撮影現場で総力を出す腕の見せ所です。

この「どう撮るか」の部分は日頃の反復練習で体に染み込ませる必要があります。

たとえるなら、車の運転のようなものです。

免許を取ったばかりの頃は、
「ウインカー出して、ミラー見て、ブレーキ踏んで……」と頭の中がいっぱいになりますよね。
でも、考えながら運転していると咄嗟の判断ができずにかなり危険です。

経験を重ねていくうちに、それらの操作が体に馴染み、
いざというときでも自然に反応できるようになります。

撮影もまったく同じで、構図やカメラの動かし方を考えなくても反射的にできるようになることが、上達の一歩です。
その「反射の精度」を上げるには、とにかく撮って練習するしかありません。

今回は、初心者の方にもすぐ試せる「基本の構図5選」をご紹介します。
少し意識するだけで大きくクオリティが上がると思うので、是非試してみてください!

1. 三分割構図 ―― 迷ったらまずこれ

構図の中でも最も有名で使いやすいのが、三分割構図(さんぶんかつこうず)です。
画面を縦と横に3等分して、線が交わるところや線の上に被写体を置く方法です。

真ん中から少しずらして被写体を配置することで、自然で安定感のある印象に。
たとえば風景なら、空の割合を1/3または2/3にして撮るとバランスが良く見えます。
カメラの設定でグリッド線を活用すれば簡単に撮影することができます。

どんなシーンにも応用できる万能構図なので、「どう撮ればいいか迷ったら三分割構図」で間違いありません。
身の回りの写真などを見てみるとこの構図が圧倒的に多いことに気がつくと思います!

乗り物を主題にして左上に配置をしてバランスをとった構図になっています。
ポートレーなどでも目の位置を工夫するとすっきりとバランスが取れた写真になります。

2. 日の丸構図 ―― シンプルで力強く

次は、被写体をど真ん中に置く 日の丸構図
「それって初心者っぽくない?」と思われがちですが、実はとても効果的なんです。

主役を真ん中に置くことで、見る人の視線が自然に集まり、被写体の存在感をしっかり伝えられます。
花や人物、食べ物など「これを見てほしい!」というシーンにぴったり。
背景をぼかしたり、余計なものを入れずにシンプルにまとめると、より印象的な写真になります。

構図としては基本中の基本ですが、使い方次第で一番インパクトのある表現になる構図です。

シンプルな構図ですが、主題が分かりやすいという大きな利点があります。
後述する額縁構図の要素を取り入れて主題が分かりやすくまとめられています。

3. 二分割構図 ―― 落ち着きと安定感を出す

三分割構図の次に覚えておきたいのが、二分割構図
画面を上下または左右で半分に分ける構図です。

空と海、空と地面、左右対称の建物など、2つの要素を均等に見せたいときに効果的。
境界線をまっすぐ中央に置くことで、落ち着いた安定感が生まれます。

水面に反射した風景などを撮るときにぴったりの構図で、左右対称の「シンメトリー写真」にも向いています。
静かでバランスの取れた印象を与えたいときに使ってみてください。

地平線ではなく、雲の量を利用して2分割構図にしています。

4. 額縁構図 ―― 奥行きを感じさせるフレーミング

写真や映像の中に“もうひとつの枠”を作るのが、額縁構図(フレーム・イン・フレーム)です。

窓や扉、アーチ、木の枝などを利用して、被写体をその内側に配置します。
そうすることで、自然と視線が主題へ導かれ、奥行きのある画になります。

たとえば、トンネルの出口に立つ人物、木々の間から見える建物――そんな「覗き見るような構図」が額縁構図です。
手前にフレームを入れるだけで、画面が引き締まり、ストーリー性のある一枚に仕上がります。

5. 対角線構図(リーディングライン) ―― 見る人の目を導く

最後は、動きや奥行きを出したいときに使える構図です。
被写体を画面の対角線上に配置したり、道路や川、通路などの“線”を斜めに走らせることで、視線が自然に奥へと誘導されます。

この線のことを「リーディングライン」と呼びます。
見る人の目が無意識のうちに被写体へ導かれ、画面全体に動きが生まれるのが特徴です。

街の道路や橋、線路など身近な被写体でも使える構図なので、「静止画でも動きを感じる」一枚を撮りたいときにぴったりです。

おわりに ―― 大切なのは“たくさん撮ること”

今回紹介した5つの構図は、どれも基本的でありながら、プロの現場でも日常的に使われるものばかりです。
最初は意識して構図を決めるのが難しく感じるかもしれませんが、撮っていくうちに自然と身についていきます。

そして一番大事なのは、頭で覚えるよりもカメラを持ってたくさん撮ること
構図の知識は、シャッターを切る中で“感覚”として体に染み込んでいきます。

まずは気になる景色や人、身近なものを撮りながら、今日紹介した構図をひとつずつ試してみてください。
少しずつ、あなたらしい映像の「見せ方」が見えてくるはずです。

Posted byMatsushita